1日に体が消費するエネルギー量(カロリー数)は、ダイエットする上で知っておきたい数字です。
基礎代謝量と消費エネルギー量を計算できる計算機を作りましたので、ぜひご利用ください。
計算結果の2つの数字の見方と使い方も、わかりやすく説明します。
消費エネルギー量の理解と使い方については、少し複雑で注意が必要です。そのため、本記事はすこしマニアックになってしまっており、基礎代謝量だけ計算したい方は、簡易バージョンのご利用をおすすめします。
基礎代謝量とエネルギー消費量の計算機
必要事項を入力し、「計算する」をクリックすると、1日あたりの基礎代謝量とエネルギー消費量の推定値を計算できます。
まずは、計算してみてください。
計算についての詳しい説明は、のちほどします。
計算式の特徴と注意事項
計算に使用しているのは「国立健康・栄養研究所の式」です。
出典は詳しくは本記事の最後に載せますが、厚生労働省の資料です。
この計算は、以下に該当する場合に妥当性が確認されています。
- 健康な日本人
- 18〜79 歳
- BMI が 30 程度まで
子供や80歳以上には使えない式だということをご注意ください。
計算結果の見方
「基礎代謝量」は、座位安静時の代謝エネルギー(単位:カロリー)です。
「推定エネルギー消費量」は、歩いたり運動したりの活動で増えたエネルギー消費分も含めた1日の消費カロリーです。
45才男性の計算結果の例
たとえば、男性、45才、170cm、70㎏で計算すると、
- 基礎代謝量=1505 kcal/日
- 推定エネルギー消費量=2258 kcal/日 (身体活動レベル=「低い」の場合)
- 推定エネルギー消費量=2634 kcal/日 (身体活動レベル=「ふつう」の場合)
となります。
この条件の男性が、もし座ったまま静かに暮らすと、1505 kcalを代謝で消費します。
ただ実際には、仕事やスポーツをする分、余計にエネルギーを消費します。この運動分を合わせれば、「ふつう」程度の活動をする場合、この人の身体は1日に2634 kcalを消費するという計算結果です。
推定エネルギー消費量の評価は妥当か⁉
身体活動による消費エネルギーは妥当か⁉
前節の45才男性の計算例では、1日の間の運動によるカロリー消費量は、以下のようになります。
- 身体活動レベルが「低い」人の1日の運動によるカロリー消費=2258-1505=753 kcal
- 身体活動レベルが「ふつう」の人の1日の運動によるカロリー消費=2634-1505=1109 kcal
「低い」活動レベルで、753 kcal消費してるって妥当なの⁉ 運動して753 kcal燃やすって、もの凄く大変な努力だったはず、という疑問が起きますよね。
推定エネルギー消費量の計算の原理
実は、厚労省の報告書では、身体活動レベルの「低い」、「ふつう」、「高い」はそれぞれ、基礎代謝量の50%、75%、100%を身体活動で燃やす運動習慣と定義づけています。
本計算機でも、この定義をそのまま計算した結果を表示しています。
生活に即して妥当性を考えてみる
本ブログでは、さまざまな運動の消費カロリーを計算できる計算機を用意しています。
体重70㎏の45歳男性の生活スタイルごとのカロリー計算をしながら、推定エネルギー消費量の妥当性を考えてみたいと思います。
ケース1 座位中心の仕事、通勤等含め2時間歩く
120分の徒歩 | 280 kcal |
身体活動レベル=「低い」は、日常生活の内容が「生活の大部分が座位で、静的な活動が中心」に相当すると厚労省では分類しているカテゴリです。
この生活様式に合致するケースとして想定してみたのですが…。
身体活動レベルが「低い」の 753 kcal には到底届かず。
ケース2 座位中心の仕事、通勤等含め2時間歩く+水泳1時間
120分の徒歩 | 280 kcal |
60分のんびり泳ぐ | 350 kcal |
合計 | 630 kcal |
毎日1時間水泳する人は、私から見ると物凄くアクティブです。
それでも、 身体活動レベルが「低い」の 753 kcal にはわずかに届きません。
ケース3 8時間の立ち仕事、通勤等含め2時間歩く
480分の立位 | 448 kcal |
120分の徒歩 | 280 kcal |
合計 | 728 kcal |
身体活動レベルが「低い」の 753 kcal とだいたい同じくらいの消費エネルギーになりました。
身体活動レベル「ふつう」に対応する生活スタイルの「座位中心の仕事だが、立位での作業・接客、通勤・買い物での歩行、家事、軽いスポーツ、のいずれかを含む生活」という記述にとてもしっくりくる生活スタイルに思うのですが。
ケース4 仕事と通勤等含め全部でで10時間歩く
600分の徒歩 | 1400 kcal |
このくらいだと、身体活動レベル「ふつう」の 1109 kcal を超える運動量になります。
ただ、「ふつう」に対応する生活スタイルの「座位中心の仕事だが、立位での作業・接客、通勤・買い物での歩行、家事、軽いスポーツ、のいずれかを含む生活」という記述と比べても、はるかに運動量が多い生活スタイルに思います。
結論:身体活動レベルは運動量を過大に見積もっている可能性
こう見て来ると、「ふつう」な身体活動レベルは、1日中体を動かす仕事に就いている人でないと難しい感じです。対応する日常生活の運動レベルの「座位中心の仕事だが、立位での作業・接客、通勤・買い物での歩行、家事、軽いスポーツ、のいずれかを含む生活」という記述と対応しません。
成人の身体活動レベルは、健康な日本人の成人(20〜59 歳、150 人)で測定したエネルギー消
「日本人の食事摂取基準」(2020年版)
費量と推定基礎代謝量から求めた身体活動レベル 88)を用いた。すなわち、男女それぞれの身体活動レベルから全体の身体活動レベルを求めると 1.72±0.26 となり、となり、レベルⅡに相当する 63 人では 1.74±0.26 であった(いずれも平均値±標準偏差)。
この引用で言っている 1.72±0.26 という数値は、測定した150人の(エネルギー消費量/基礎代謝量)の平均値が1.72であったという意味だと思います。
基礎代謝量の72%に相当するカロリーを生活の中の運動によって燃やすのがとても大変なのは、ここまでで例証してきた通りです。
私が見落としている点がありましたら、教えていただけると幸いです。
消費カロリーの計算原理と参考文献
基礎代謝量の計算式および身体活動レベルは、「日本人の食事摂取基準」(2020年版) の「Ⅱ-1 エネルギー・栄養素」のうち、「エネルギー」を参考にしました。
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